損失との​向き合い方

  • レベル やさしい
  • 読む時間 約10分
  • 最終確認日 2026年10月11日
  • 投資を勧めるものではありません

このレッスンで分かること

  • 損失が​投資に​起こりうる​ことと、​引き受けられる​損失を​先に​考える​意味を​説明できる
  • 損失から​元に​戻るには、​損失より​大きな​割合の​上昇が​必要に​なる​ことを​計算で​確かめられる
  • 借りた​お金や​レバレッジを​使う​取引の​危うさと、​困った​ときの​相談先を知る

先に読むとよいレッスン:投資とは何か、リスクの​種類を知る

目次

損失は、​投資に​起こりうること

投資には、​利益の​可能性と​損失の​可能性が、​同時に​あります。

点線の​下線が​ある語は、​押すと​意味が出ます。

金融庁(出典「資産形成の基本(NISA特設ウェブサイト)」を別のタブで開きます)は、​株式や​投資信託などへの​投資は、​預貯金よりも​高いリターンを​期待できる​一方で、の​おそれも​あると​説明しています。​日本証券業協会は、​リスクが​大きいとは​「大きく​収益が​得られるかもしれないし、​大きく​損失が​出るかもしれない」と​いう​意味だと​説明しています。

同協会は、​金融商品の​価格は​上がったり下がったりして​動いており、​上が​りっぱなしや​下が​りっぱなしと​いう​こともない、とも​述べています。​損失が​起こりうる​ことは、​投資の​仕組みにもともと​含まれています。​このレッスンでは、​損失が​起こる​前に​知って​おきたい​ことを​順に見ます。

分散しても、損失はなくなりません

は、​価格の​変動を​ある程度​抑える​考え方です。​損失を​なくす方法ではなく、​元本割れの​可能性は​残ります。

やさしく​言うと、​投資では​「増える​可能性」と​「減る​可能性」が、​いつも​同じ場所に​あります。

要点

損失の​可能性は、​投資の​仕組みに​含まれています。​分散しても、​なくなりません。

引き受けられる​損失を、​先に考える

値下がりした​ときに​困らないかを、​始める​前に​考える、と​いう​考え方が​あります。

日本証券業協会は、​自分の​お金を​次の​3つに​分けて​考える​方法を​紹介しています。​同協会は、​下の​1と​2の​お金で​投資を​すると、​今の​生活や​将来の​予定に​影響が​出る​可能性が​あるため、​この部分は​預貯金で​準備し、​投資は​3の​お金で​行う、と​説明しています。​金融庁(出典「資産形成の基本(NISA特設ウェブサイト)」を別のタブで開きます)は、​家計管理の​基本と​して、​収入と​支出を​把握・管理する​ことを​挙げています。

  1. 日々の​生活に​必要なお金
  2. 近く​(数年の​うち)​使う​道が​決まっているお金
  3. 当面使う​予定のないお金

同協会は、​投資で​どの程度の​リスクを​引き受けられるかをと​呼び、​リスクを​とりすぎると、​日々の​生活費まで​失ったり、​精神的に​追い​詰められたりする​可能性が​あると​説明しています。​リスク​許容度には、​収入、​資産額、​投資経験、​今後の​ライフイベントの​数と​いった​客観的な​要素と、​たとえば​株価が​下がると​心配で​眠れないか​どうかと​いった​主観的な​要素が​あります。​どの程度の​値下がりなら、​どのくらいの​期間​耐えられるかを​具体的に​思い描く​ことが、​リスクと​付き合う​ポイントだと​しています。​許容度は​人ごとに​違う​ため、​この教材は​「何%までなら​大丈夫」と​いった​数字を​示しません。

やさしく​言うと、​「いくらまで​減っても、​生活と​気持ちが​大丈夫か」は、​人に​よって​答えが​違うので、​始める​前に​自分で​考えて​おく、と​いう​ことです。

要点

日本証券業協会は、​生活に​必要な​お金と​近く​使う​お金を、​投資に​回す​お金と​分けて​考える​方法を​紹介しています。​引き受けられる​損失は、​人に​よって​違います。

減った​分を​戻すには、​もっと​大きな​割合が必要

50%下がった​あとに​元へ​戻るには、​100%の​上昇が​必要です。

下がった​割合と、​元に​戻る​ために​必要な​上がる​割合は、​同じでは​ありません。​下がった​あとの​金額を​基準に​して、​上がる​割合を​計算する​ためです。​これは​算数の​関係で、​価格が​実際に​戻るか​どうかとは​別の話です。

架空の​例:100万円が​50%下がったとき

これは​架空の​例です。​100万円を​投資した​資産の​価格が、​50%下がりました。​手数料や​税金は​考えません。

  1. 50%下がると、​100万円×0.5=50万円に​なります。
  2. 100万円に​戻すには、​50万円を​増やす必要が​あります。
  3. 50万円に​対する​50万円の​割合は、​50万円÷50万円=1、​つまり​100⁠%⁠です。

50%下がった​あとに​元の​金額へ​戻るには、​下がった​あとの​金額が​2倍に​なる、​100%の​上昇が​必要です。

架空の​例:100万円から​下がった​場合に、​元へ​戻る​ために​必要な上昇率

下がった割合下がった​あとの金額戻る​ために​必要な上昇率
10%9⁠0⁠万円約1⁠1⁠.⁠1⁠%
20%8⁠0⁠万円25%
50%5⁠0⁠万円100%
80%2⁠0⁠万円400%

やさしく​言うと、​深く​下がる​ほど、​元の​場所へ​戻る​坂道は​急に​なります。

要点

下がった​割合が​大きい​ほど、​元へ​戻る​ために​必要な​上昇率は、​さらに​大きくなります。

確認問題

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借りた​お金や​レバレッジで​投資する危うさ

手元の​お金より​大きな​取引は、​損失も​大きくなる​可能性が​あります。

日本取引所​グループ(この節の出典の一覧へ)は、を​「テコの​原理」に​たとえ、​先物や​オプション​取引では​少額の​(取引を​取り次ぐ​事業者などに​預ける​お金。​この教材の​補足)で​その何倍もの​取引を​行えると​説明しています。​金融庁(この節の出典の一覧へ)は​外国為替証拠金取引​(FX。​証拠金を​預けて​通貨を​売買する​取引)に​ついて、​大きな​額の​取引が​できる​反面、​証拠金以上の​損失が​生じる​おそれが​あり、​元本も​利益も​保証されないと​説明しています。

株式の​信用取引は、​証券会社が​買付資金や​株式を​貸し付けて行う​取引で、​見合う​担保​(預けて​おく​もの。​この教材の​補足)が​必要です。​日本取引所​グループは、​損失が​拡大して​担保が​不足すると、​追加の​保証金​(追い証。​足りない​分に​備えて​預ける​お金。​この教材の​補足)を​差し入れる​ことに​なると​説明しています。

架空の​例:証拠金の​2倍の​取引で​価格が​下がったとき

10万円の​証拠金を​預け、​20万円分を​買う​取引を​しました。​手数料や​金利は​考えません。

  1. 価格が​10%下がると、​損失は​2万円で、​預けた​10万円の​20⁠%⁠です。
  2. 50%下がると、​損失は​10万円で、​預けた​10万円が​すべて​なくなります。
  3. 50%を​超えて​下がると、​損失は​預けた​10万円を​上回ります。

同じ10%の​値下がりでも、​預けた​お金に​対する​損失の​割合は​20%と​2⁠倍です。

借りた​お金は、​投資の​結果に​かかわらず返す必要が​あります​(この​教材の​説明)。​金融庁は、​借入れ全般の​注意点と​して、​本当に​必要か、​無理なく​確実に​返済できるかを​挙げています。

やさしく​言うと、​預けた​お金の​何倍もの​取引は、​損失が​預けた​お金を​超える​場合も​あります。

要点

レバレッジの​かかった​取引では、​預けた​以上の​損失が​生じる​おそれが​あります。

確認問題

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暗号資産の​証拠金取引と、​金融庁の説明

個人の​暗号資産の​証拠金取引には、​証拠金の​割合に​ついて​決まりが​あります。

暗号資産にも​証拠金取引が​あります。​金融庁(この節の出典の一覧へ)は、​令和2年4月3日に​公表した​文書で、​これを​FX取引と​同様に、​証拠金を​上回る​損失が​発生する​おそれの​あるリスクの​高い取引だと​説明しています。​特に​個人を​相手に​する​高レバレッジの​取引は、​顧客が​不測の​損害を​被る​おそれ、​事業者の​財務の​健全性への​影響、​過当投機​(​行き過ぎた​投機)の​3つの​観点から​問題が​あると​しています。

そのうえで、​想定元本​(取引の​対象に​なる​金額)の​50%以上の​証拠金の​預託​(預ける​こと)を​受けずに​事業者が​暗号資産を​用いた​証拠金取引を​行う​ことを​禁止しました。​この改正を​含む政令・内閣府令等は、​令和2年4月3日に​公布され、​令和2年5月1日から​施行・​適用され​ています。

2026年10月時点で、​e-Gov法令検索(出典「金融商品取引業等に関する内閣府令(平成十九年内閣府令第五十二号)」を別のタブで開きます)の​「金融商品取引業等に​関する​内閣府令」には、​個人の​顧客が​暗号資産の​証拠金取引を​行う​とき、​取引の​額の​50%以上の​証拠金が​必要に​なる​規定が​あります。​取引の​額は、​預けた​証拠金の​おおむね2倍までと​いう​仕組みと​言い​換えられます​(この​教材の​計算。​例外が​あるため目安です)。​条文は​改正される​ことがあります。

上限があっても、損失はなくなりません

前の​節の​計算の​とおり、​証拠金の​2倍の​取引でも、​価格が​50%下がれば​証拠金が​すべて​なくなります。​金融庁は、​証拠金を​上回る​損失の​おそれが​あるとも​説明しています。

やさしく​言うと、​決まりが​あるのは​「預ける​お金の​割合」で、​「損を​しない」​ことを​約束する​決まりでは​ありません。

要点

個人の​暗号資産の​証拠金取引には​証拠金の​割合の​決まりが​ありますが、​損失が​なくなるわけでは​ありません。

お金の​ことで​困った​ときの相談先

公的機関は、​困りごとに​合った​窓口への​相談を​案内しています。

金融庁(この節の出典の一覧へ)は、​全国の​財務局に​多重債務相談窓口を​設けていると​案内しています。​多重債務​(借入れが​重なって​返済に​困る​状態。​この教材の​補足)を​抱えて​困っている​人は、​その窓口に​相談できます。​同じページには、​都道府県や​市区町村の​相談窓口の​一覧も​載っています。

消費者庁(出典「消費者ホットライン」を別のタブで開きます)は、​困った​ときは​一人で​悩まずに、​消費者​ホットライン188に​相談する​よう​案内しています。​地方公共団体が​設置している​身近な​消費生活​センターや​消費生活相談窓口が​案内されます。​金融庁の​暗号資産の​ページ​(2026年10月時点)には、​暗号資産を​含む金融​サービスの​一般的な​相談は​金融サービス​利用者相談室​(平日10時から​17時、​ナビダイヤル0570-016811)、​詐欺と​思われる​トラブルは​最寄りの​警察本部や​警察署に​問い合わせると​あります。

困りごとと、​公的機関が​案内している相談先

困りごと相談先案内している機関
借金の​返済に​困っている財務局の​多重債務相談窓口金融庁
不審な​勧誘などの​消費者トラブル消費者​ホットライン⁠1⁠8⁠8消費者庁
金融サービスに​ついての相談金融サービス​利用者相談室金融庁
詐欺と​思われるトラブル最寄りの​警察本部⁠・⁠警察署金融庁

やさしく​言うと、​お金の​ことで​困った​ときに​話を​聞いてくれる​窓口が、​公的機関に​用意され​ています。

要点

借金や​詐欺の​おそれなど、​困りごとに​応じた​公的な​相談窓口が​案内され​ています。

理解度チェック

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まとめ

このレッスンで​押さえたい​ことです。

  • 損失の​可能性は、​投資の​仕組みに​含まれています。​分散しても、​元本割れの​可能性は​残ります。
  • 日本証券業協会は、​生活に​必要な​お金と​近く​使う​お金は​預貯金で​準備し、​投資は​当面使う​予定の​ない​お金で​行うと​説明しています。​引き受けられる​損失は、​人に​よって​違います。
  • 下がった​割合が​大きい​ほど、​元へ​戻る​ために​必要な​上昇率は​さらに​大きくなります。​50%下がると、​100%の​上昇が​必要です。
  • レバレッジの​かかった​取引では、​預けた​お金以上の​損失が​生じる​おそれが​あります。​困った​ときの​公的な​相談窓口が、​金融庁や​消費者庁などから​案内され​ています。

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出典と最終確認日

このレッスンの​事実は 2026年10月11日 に​確認しました。

ご利用にあたって

この教材は​一般的な​情報を​伝える​ための​もので、​特定の​商品の​売買や​投資を​勧める​ものでは​ありません。​税や​法律など​個別の​判断は、​金融庁や​国税庁などの​公的な​情報を​確かめたうえで、​専門家に​ご相談ください。